恋愛経験ゼロの30代男性が婚活を始めた理由|彼女ができない本当の原因と気づき

📘 第1話|恋愛経験ゼロの30代男性が婚活を始めた理由
■ 気づけば、36歳だった
気づけば36歳になっていた。
とはいえ、年齢そのものより、
“恋愛だけずっと初期装備のまま止まっていたこと”のほうが刺さった。
工場勤務で、毎日残業。
家と職場を往復するうちに、学生の頃に信じていた
「そのうち自然に彼女できるっしょ」
という謎の自信は、いつの間にか消えていた。
そんなある日の結婚式の二次会で、友人から軽く言われた。
「え、彼女いないの?珍しくない?」
その“軽さ”が、妙に胸に引っかかった。
「このまま誰にも選ばれない未来って…あるよな」
そんなことを初めてリアルに思った。
■ 後輩の“普通”がやけに胸に残った
職場の休憩室で、缶コーヒー片手にぼーっとしていた時。
後輩が何気なく言った。
「先輩もアプリやればいいのに。みんな普通に出会ってますよ」
いや、その“普通”が信じられないんだよ。
若さと勢いで何とかなる世界から、もう距離を感じてる。
表面上は笑って流したけど、
その一言だけが、やけに心に残った。
結局その夜、スマホで検索した。
「婚活 アプリ」
調べると意外だった。
✔ 本人確認がしっかり
✔ 真剣な人も多い
✔ “遊び目的ばかり”は偏見だった
「思ったより真面目なんだ…」
気づけば登録していた。
■ アプリの現実は、静かに心を削ってきた
最初は少し期待した。
でも現実はじわじわ厳しい。
・いいねが返ってこない
・マッチしても会話が続かない
・続いたと思ったら既読スルー
・デートしても「奢って終わり」でただ虚しい
アプリを開くたび、
“誰かに評価されている気分”が押し寄せた。
「工場勤務だから?」
「僕ってそんな悪い条件なのか…?」
誰も責めてないのに、なぜか自分がどんどん削れていった。
■ “相談所”という言葉が初めてリアルになった日
アプリを一年続けて成果ゼロ。
そんな時、友人が言った。
「本気で結婚したいなら相談所がいいよ。今は20代から普通にいるし」
その瞬間、心のどこかが小さく跳ねた。
僕のイメージでは
「相談所=最後の砦」
だった。
でも調べてみると…
✔ 思ったより柔らかい
✔ 冷やかしや遊び目的がいない
✔ 若い人も普通に使ってる
そして一番驚いたのは、
✔ アプリみたいな“人気順のジャッジ感”が無くて、心がふっと楽になったこと。
「ああ…もっと早く知りたかった。」
■ “最後の砦”じゃなかった
スマホでいろいろ調べていて、思わず苦笑いした。
「相談所って、こんなに普通なんだ…」
昭和ドラマみたいな堅苦しいイメージを勝手に持っていたけど、現実は違った。
・カフェみたいな相談ブース
・若い利用者のインタビュー
・担当さんと笑顔で話す動画
その瞬間、肩の力がすっと抜けた。
「行くか行かないかは置いといて…悪くない、かも。」
■ それでもすぐ動けなかった理由
ただ、すぐに申し込めたわけじゃない。
「変に思われるかな」
「そこまでして結婚したい人、って見られそうだな」
誰もそんなこと言ってないのに、
薄いプライドと自己嫌悪が静かに揺れた。
ページを閉じようとした指が、一度だけ止まった。
“このままアプリで削れ続ける未来も、普通にある。”
その現実だけは、妙にリアルだった。
■ 気づけば、次のページを開いていた
その夜、静かな部屋でひとり。
気づけば、相談所の無料相談ページを開いていた。
まだ申し込む勇気はなかったけれど、
視線だけはそこから離れなかった。
人生の歯車が、ほんの少しだけ音を立てた気がした。
この数日後、僕は生まれて初めて“相談所の扉”を開くことになる。
この時はまだ、人生があんな風に動き出すなんて思ってもいなかった。
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